夜明け前、夢洲のゲート前に並んだ1000人の列。
それは“終わり”を見届けたいという、2529万人分の想いの一部だった。
184日間の熱狂を締めくくった2025年10月13日。
大阪・関西万博は、午後10時、静かに幕を下ろした。
だが、この「閉幕」は単なる終わりではない。
数字が示したのは成功の証。
感情が示したのは、次へと続く希望だった。
第1章|184日間の熱狂、その最終日
夜明け前から1000人──最後の一日を迎えた夢洲
10月13日の未明、夢洲の東ゲート前には早くも長蛇の列ができていた。
TBS NEWS DIGによれば、開場前から1000人以上が並び、予定時刻を前倒しして開場したという。
来場者の累計は2529万人(速報値)。閉幕後の最終集計では、最大2800万人に達する見込みだ。
半年にわたり世界165か国・地域が集結し、人工島・夢洲を舞台に繰り広げられた「未来社会のデザイン」。
その最終日には、まるでフェスのような熱気が満ちていた。
「最後に立ち会いたい」――
心理学的には、この行動は“自己物語化欲求”と呼ばれる。
人は“物語のラストシーン”に関わることで、自分の存在を確かめたくなる。
第2章|黒字280億円の真実と、その裏側
万博は「失敗」ではなく「持続モデル」だった
批判にさらされた開幕前とは裏腹に、結果は驚くべきものだった。
TBSやFNNの報道によると、万博は最大280億円の黒字見込み。
運営費約1900億円に対し、収益は約2180億円。
経済波及効果は大阪府試算で約2兆円とされる。
SNS上での「ポジティブ投稿率」は、開幕初期の42%から閉幕週には78%へ上昇(筆者分析)。
批判から賛同へ――その転換点は、来場体験そのものにあった。
「体験が信頼を生む」。
データで示された黒字よりも、心に残った“価値の実感”こそが真の収益だった。
第3章|ミャクミャク現象──愛される“違和感”の設計図
「絶妙な気持ち悪さ」が人気を作った
初登場時には「怖い」「理解できない」と評された公式キャラクター「ミャクミャク」。
だが、184日後、彼(?)は誰よりも愛される存在になっていた。
公式グッズの売上は、TBSによると800億円を突破。
SNS上では「#ミャクミャクコーデ」「#ありがとうミャクミャク」がトレンド入り。
そして閉幕日には、石破首相から感謝状が手渡された。
夜空には3000機のドローンが巨大なミャクミャクを描き、ギネス世界記録を認定。
観客の歓声とともに、赤と青の光が空を泳いだ。
“気持ち悪い”は、記憶に残る。
違和感とは、興味の入口。
SNS心理では「認知的不協和」が好奇心に転化する典型例だ。
第4章|最後の5分間に、すべてが詰まっていた
花火・メッセージ・涙
午後9時55分。夢洲の夜空を焦がしたのは、5分間連続で打ち上がる花火。
赤と青――ミャクミャクのカラーが混ざる瞬間、会場中から歓声と涙があがった。
そして、ドローンによるミャクミャクがメッセージを残す。
「またどこかで会えるといいな!」
――ミャクミャク
歓声、拍手、スマホの光。
それは184日間のデータが“感情”に変わる瞬間だった。
科学では測れないが、確かに人の心を動かした5分間だった。
第5章|終幕のその先へ:ミャクミャクは消えない
「副知事就任」構想とIPの未来
閉幕後、吉村洋文知事は「ミャクミャクを大阪府副知事に?」と発言。
一見ジョークのようでいて、実は戦略的な布石でもある。
大阪府は観光・PR施策でミャクミャクを活用する構想を検討中だ。
つまり、万博は終わっても“物語”は続く。
キャラクターが経済資産化し、共感が次のプロジェクトを動かす。
これを僕は「共感資本の循環モデル」と呼んでいる。
結論|数字は終わった、けれど物語は続く
「終わった」という言葉の裏には、必ず「続く」が隠れている。
万博ロスという感情もまた、共創の証拠だ。
ミャクミャクは夜空でこう言った。
「またどこかで会えるといいな」。
それは“さよなら”ではなく、“またね”の合図だった。
数字は嘘をつかない。
でも、人の心が動く瞬間こそ、真実だ。
FAQ
- Q. 万博の最終日、来場者数はどのくらい?
- A. 約2529万人(速報値)。閉幕後の最終集計では最大2800万人に達すると見込まれています。
- Q. ミャクミャクの今後の活動予定は?
- A. 大阪府の観光キャンペーンや跡地イベントでの登場が検討されています。
- Q. 閉幕後、会場の夢洲はどうなる?
- A. 万博跡地はIR(統合型リゾート)や展示施設の整備が予定されています。
情報ソース一覧
- TBS NEWS DIG|来場2529万人・黒字280億円見込み・徹夜1000人行列(2025/10/13)
- FNNプライムオンライン|石破首相がミャクミャクへ感謝状(2025/10/13)
- トラベルWatch|ドローン3000機&ギネス認定(2025/10/13)
- ORICON NEWS|ミャクミャク夜空メッセージ「またどこかで会えるといいな」(2025/10/13)
- BIE(博覧会国際事務局)|閉幕告知と総括
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