外食大手「バーガーキング」の日本事業を巡り、米ゴールドマン・サックスが約700億円で買収する見通しが明らかになった。
運営会社であるビーケージャパンホールディングスを保有する香港の投資ファンドアフィニティ・エクイティ・パートナーズが売却方針を固め、ゴールドマンに優先交渉権を与えたと報じられている。
「『バーガーキング』日本事業、米ゴールドマンが買収へ…700億円程度で」
(読売新聞オンライン / Yahoo!ニュース)
一見すると「売却=撤退」に映るが、実際には事業成長を次のフェーズへ移すための資本再編とみられている。
バーガーキング日本の出店ペースは衰えておらず、むしろ加速している。
700億円規模の取引──外食業界を動かす大型再編
出典:日本経済新聞(公式X投稿・2025年11月17日)によれば、アフィニティ・エクイティ・パートナーズは日本事業の売却を正式に進め、ゴールドマン・サックスに優先交渉権を付与した。
買収額は約700億円規模に達する見込みとされる。
「バーガーキング日本事業売却、ゴールドマンに優先交渉権 700億円規模」
(日本経済新聞 公式X投稿)
今後、詳細な契約条件が調整され、2026年前半をめどに株式移転が完了する可能性がある。
ファンドから金融機関へという異例の事業移転が、外食業界の再編を象徴する動きとして注目されている。
バーガーキング日本事業の現状──出店は「加速」している
バーガーキングの国内店舗数は、2019年の77店から、2025年10月末時点で308店まで増加。
さらに京都・神奈川・北海道・兵庫で新規出店を予定しており、11月中には312店舗に到達すると発表されている。
同社は2028年末までに全国600店舗を目指しており、今後も地方都市や商業施設内への出店を強化する見込みだ。
売却報道の中でも、成長の足取りは止まっていない。
バーガーキング人気の理由──“直火焼き”と“自由さ”のブランド哲学
バーガーキングが世界中で愛される理由は、単なるハンバーガーチェーンにとどまらない「体験型ブランド」にある。
その象徴が看板メニュー「ワッパー®」。直径約13センチのバンズに、直火焼きで仕上げた100%ビーフパティを挟み、肉の香ばしさとボリューム感で他ブランドとの差別化を図っている。
「私たちは、“HAVE IT YOUR WAY®(自分らしく自由に選べる)”をブランドのコアメッセージとし、お客様一人ひとりの“自分らしさ”を応援します。」
(バーガーキング公式サイト「企業情報」)
この“自由に選べる”文化が、SNS世代を中心に共感を集めている。
トッピングのカスタマイズや「逆さワッパー」など遊び心のあるキャンペーンが話題を呼び、
「自分の味を楽しめるブランド」として若年層からの支持を拡大している。
また、他社に比べてメニュー価格がやや高めにもかかわらず、満足度リピート率が高いのも特徴。
味とブランド体験にこだわる戦略が、顧客ロイヤルティを高めている。
なぜゴールドマンが手を伸ばしたのか──金融の視点から見た「価値」
ゴールドマン・サックスが外食事業に関与するのは異例だが、そこには日本市場の潜在成長力がある。
少子化の中でも外食産業はデジタル化・高付加価値化の波で再成長を見せており、
バーガーキングのブランド価値と拡張余地は金融機関にとっても魅力的な投資対象となっている。
また、同社のグローバルネットワークを活用することで、購買・物流・DX(デジタルトランスフォーメーション)の面でコスト効率を高める戦略も視野に入る。
これは単なるM&Aではなく、構造改革を見据えた「成長投資」に近いといえる。
“売却”ではなく“進化”──バーガーキング第2章へ
売却という言葉にはマイナスの響きがあるが、今回の動きはむしろバーガーキング日本にとって第二の成長ステージの始まりだ。
ゴールドマンの資本とノウハウを得て、店舗展開・デジタル戦略・商品開発の面でさらなる拡大が期待される。
“HAVE IT YOUR WAY”という理念のもと、バーガーキングはこれからも「自由に、自分らしく食を楽しむ」体験を提案していく。
外食業界では今後も再編が続くとみられるが、その中でバーガーキングが描く「進化の形」が注目されている。



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