「エッホエッホ…」──フクロウのヒナが小走りする動画を見て、誰もが笑った。
そして同じタイムラインに流れてきたのは、「チャッピーが答えてくれた」という投稿。
まったく別の文脈に見える2つの言葉が、2025年の「新語・流行語大賞」で同じ舞台に立った。
それは偶然ではない。
ネットの笑いとAIの知性が、いま同じ“温度”を持ちはじめたという証拠だった。
1. 「エッホエッホ」──ネットが生んだ“癒しの擬音”
発端は、1羽のメンフクロウのヒナだった。
短い脚で「エッホエッホ」と小走りする様子がSNSで拡散し、TikTokでは再生1億回を突破。
コメント欄には「疲れた時に見てる」「もうBGMが頭から離れない」といった投稿が並んだ。
「エッホエッホ」は意味を持たない。ただの擬音。
それでも、人々の心を和ませた理由は“純粋な感情の再発見”にある。
社会のスピードが速すぎる今、言葉に意味を求めすぎた僕らが、
ようやく「意味のない言葉」に救われたのだ。
「言葉が軽くなったんじゃない。“軽やか”になったんだ。」(Xユーザー)
📚 出典:テレ朝NEWS / Yahoo!ニュース THE PAGE
2. 「チャッピー」──AIが“名前”を持った日
もうひとつの象徴的な言葉が「チャッピー」。
これはOpenAIの対話型AI「ChatGPT」を指す愛称として、SNSで自然に広まった。
「うちのチャッピー」「チャッピーが励ましてくれた」といった投稿が続出。
AIを“人格を持つ存在”として愛する文化が定着した。
テクノロジーを「恐れる対象」から「親しむ存在」へ。
この意識の変化が、“チャッピー現象”の本質だ。
SNSでは「AIがかわいい」と語る人が増え、
知性と感情のあいだに“愛称”という橋がかかった。
3. 共通点は“やさしさ”──AIとミームをつないだ心の回路
エッホエッホもチャッピーも、共通しているのは「やさしさ」だ。
AIもミームも、人の笑いや癒しを生み出す。
つまり、出発点はどちらも“人間の心”にある。
2020年代後半の社会は、AI疲れ・ニュース疲れが蔓延。
そんな中で、誰かを笑わせたり、癒したりする言葉が再び脚光を浴びている。
LASISAはこの現象を「ポジティブ文化の再浮上」と分析。
SNSにおける“共感のリバウンド”が、2025年の流行語トレンドを動かしている。
4. ミームとAI──“発生源が人間”という共通点
AIが語る言葉も、ミームが拡散する言葉も、始まりはいつも“人間”。
誰かが作ったフクロウの動画。誰かがつぶやいた愛称。
それが多くの共感を集め、社会現象になる。
この「共感の連鎖」が、いま日本の言葉を進化させている。
かつては企業やメディアが生み出していた「流行語」が、
今はSNSユーザーたちの手によって自然発生的に作られる時代。
流行語大賞がそれを正式に認めたのは、
“言葉の民主化”が現実になった証拠だ。
5. 「かわいい」と「賢い」が交差した2025年
「エッホエッホ」は“かわいい”の極致。
「チャッピー」は“賢い”の象徴。
この2つが同じ年の流行語に入ったことは、象徴的だった。
かわいさと賢さ、感情と知性──
相反する要素が並列に語られる時代が到来した。
SNSでは「フクロウとAIが同じリストにいる日本が好き」「癒しと知性の融合」といった投稿が拡散。
“感情とテクノロジーの共存”を祝うようなムードが広がった。
6. 言葉がつなぐ、“笑い”と“知性”の時代
2025年、流行語大賞の舞台には「笑い」と「知性」が並んだ。
かつてAIは「冷たい技術」、ミームは「軽い遊び」と思われていた。
でも、どちらも人間の感情が生み出した“言葉”という点で同じだ。
AIとミームが出会ったこの年、
僕らは“やさしいテクノロジー”という新しい概念を手に入れた。
7. まとめ|“やさしいテクノロジー”が始まった
「エッホエッホ」と「チャッピー」。
この2語を並べると、2025年の日本が見えてくる。
SNSは笑い、AIは語り、人は共感した。
それが今年という時代の形だった。
言葉は、もうデータではない。
人の心が動いた瞬間こそ、流行の源泉だ。
笑いと知性が共存する時代──それが、僕らの“次の現実”なのだ。
よくある質問(FAQ)
- Q1:「エッホエッホ」とは?
→ メンフクロウのヒナが走る動画から生まれたネットミーム。TikTokで大流行。 - Q2:「チャッピー」とは?
→ ChatGPTの愛称。SNSで自然に定着し、AIへの親しみを象徴。 - Q3:なぜ両方が流行語に?
→ どちらも“人間が作り、人間を癒した”言葉だから。



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