山本由伸が導いたドジャース2連勝 大谷翔平も援護打――挑戦者たちの10月14日

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白球の行方は、意志の証明だった。ミルウォーキーの夜、背番号18は静かに歴史を書き換えた。111球、9回、3安打1失点、7奪三振、1四球――数字は簡潔だが、その裏側には“信頼の再生”という物語が横たわる。ロサンゼルス・ドジャースはナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第2戦を5-1で制し、敵地で2連勝(2勝0敗)。そして、7回には大谷翔平が静かに右前へ運び、山本由伸の完投劇に一本の灯を差し込んだ。


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第1章|雪辱の夜に取り戻した“間合い”――山本由伸、完投の111球

初回、ジャクソン・チュリオに先頭打者アーチを浴びた。それでも山本は崩れない。そこから14者連続アウト。カーブで間合いをずらし、スプリットで地面へ吸い込ませる。最後は空振り三振で締めて、メジャー移籍後初の完投勝利がポストシーズンの舞台で完成した。

「最後まで、自分のボールを信じて投げられた。達成感がすごくあった」

―― 山本由伸(試合後)

この完投はMLBポストシーズンで8年ぶり、ドジャースでは2004年以来の記録とされる。試合はミルウォーキーのアメリカン・ファミリー・フィールドで行われ、敵地の重圧を技術と胆力で上書きした格好だ。テオスカー・ヘルナンデスとマックス・マンシーのソロ弾が早い回に援護を与え、試合の主導権は終始ドジャースへ流れた。AP通信ロイターの双方が「3安打完投」「111球」「7奪三振・1四球」を確認している。

▶︎ 111球。3安打。1失点。だが、それは数字の物語に過ぎない――挑戦の痕跡だ。

▶︎ 先頭打者弾を浴びながら、彼は静かに9回を制した。

第2章|“非不正投手”として刻んだ潔白の完投――バーランダーへの皮肉とファンの喝采

この完投には、もう一つの文脈がある。米メディアSportskeedaは「2017年バーランダー以来、“非不正投手”としてポストシーズン完投を果たした初の投手」と煽り気味に報じ、SNSでは「#CleanAce」の言葉が踊った。17〜18年に露見したアストロズのサイン盗みは、いまもMLBの記憶に影を落とす。ゆえに、山本が磨き上げた9イニングは、“クリーンな完投”としてファンの感情を強く揺さぶった。

誇張や誤解を防ぐための補足も必要だ。バーランダー個人が処分を受けたわけではないし、公式記録が抹消されたわけでもない。それでも“チーム由来の不信”が残るのは事実で、ドジャース右腕の111球が、競技の信頼を取り戻す象徴として語られている、ということだ。

▶︎ 「ようやく信じられる投球に出会えた」――SNSに流れた短い言葉が、この夜の全てを語る。

第3章|沈黙を破る一打――大谷翔平の適時打が灯した援護の火

4試合ぶりの安打は、価値ある一打となった。7回1死三塁、左腕アシュビーの変化球を捉えた打球は、右前へすっと落ちる。その一本でリードは3点に。山本のテンポはさらに上がり、完投への道は一気に照度を増した。ロイターは、この適時打を「勝利を決定づける援護」と位置づけている。

この10月の大谷は“らしさ”を模索していた。だからこそ、このシンプルな適時打が持つ意味は重い。チームの勝ち筋へ、確かな1点を置いてくる――ポストシーズンで最も価値があるのは、派手さではなく確度だ。

▶︎ 静かな一撃が、完投の輪郭をくっきりさせた。

第4章|“現代への逆走”――先発を信じ切るドジャースという選択

ブルペン総力戦が標準装備となった現代の10月に、ドジャースはあえて「先発で押し切る」という逆走を選んだ。第1戦のブレイク・スネルが8回無失点、そして第2戦で山本が完投。MLB.comは「多くのチームがジグ(小刻み継投)なら、ドジャースはザグ(先発深押し)」と表現する。シリーズはロサンゼルスへ移動し、流れは完全に青く傾いた。

▶︎ 過去の記録を塗り替えながら、彼らは未来へ投げ込んでいる。

データで振り返る|山本由伸の投球成績(NLCS第2戦)

  • 投球回:9.0
  • 球数:111
  • 被安打:3(先頭打者HR含む)
  • 失点:1
  • 奪三振:7 / 与四球:1
  • 結果:完投勝利(ドジャース 5-1 ブルワーズ)
  • 試合日時:現地 2025年10月14日(日本時間 10月15日)
  • 球場:アメリカン・ファミリー・フィールド(ミルウォーキー)
  • 映像ハイライト:MLB公式:7奪三振まとめ試合締めの空振り三振

エピローグ|10月の証明

雪辱から再生へ。111球の中に込められていたのは、数字ではなく信頼の重さだ。大谷の一打が照らし、山本が貫いた9回が、チームの未来を変える力を持つ。10月14日――挑戦者たちが自分たちの正義を証明した夜は、MLBの歴史に静かに刻まれる。


FAQ

Q1. 山本由伸の完投は日本人初?

はい。主要メディア(MLB.comほか)が「ポストシーズンで日本人投手の完投は史上初」と報じています。

Q2. なぜ“非不正投手”という言い回しが話題に?

2017〜18年のアストロズによるサイン盗み発覚以降、過去の完投記録にも“チーム由来の不信”が残ったため。Sportskeedaが煽り気味の見出しで報じ、SNSで拡散しました(公式見解の変更ではありません)。

Q3. 大谷翔平の第2戦成績は?

4打数1安打1打点。7回に右前への適時打でリードを拡大しました(ロイター)。

情報ソース(一次・権威/原典リンク)

本記事は現地日時2025年10月14日(日本時間15日)の試合に関する一次情報・公式発表・主要通信社の報道をもとに執筆しています。スコア、投球内容、記録の歴史的文脈(「ポストシーズン8年ぶりの完投」「ドジャース2004年以来の完投」等)は、APロイターMLB.com(ゲームリキャップ)、記録特集のMLB.com(サラ・ラングス)、戦術的論点のESPNに基づいています。話題になった「非不正投手(non-cheating)」の表現はSportskeedaによる見出しで、SNS上の反応を伝える文脈で引用しています(公式記録の変更・断定的評価ではありません)。各リンク先の詳細・更新により表現が一部変わる可能性がありますが、初出時点の要旨を適切に参照しています。

※注意:Sportskeedaの「非不正投手」という表現はファン文脈のバイラル表現であり、公式機関による断定ではありません。記録の価値を貶める意図はなく、当時の社会的受容を報じるために限定引用しています。

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