「最初は“気持ち悪い”って思ってたのに、今はグッズを集めてる。」
そんな声が、X(旧Twitter)やTikTokで急増している。
2025年、流行語大賞のノミネートに再び登場した大阪・関西万博キャラクター「ミャクミャク」。
かつて“炎上キャラ”と呼ばれた存在が、今やZ世代の“推しキャラ”としてバズっている。
この「再評価」の裏にあるのは、Z世代がつくる“違和感の時代”だ。
完璧よりも“ズレ”を愛する若者たちが、マーケティングの常識を塗り替えようとしている。
1. 「怖い」から始まった、“ミャクミャク”の物語
2022年、大阪・関西万博の公式キャラクターとして発表されたミャクミャク。
その奇抜なデザインは賛否両論を巻き起こした。
SNSでは「子どもが泣く」「なぜこのデザイン?」といった投稿が炎上。
しかし同時に、「クセになる」「ずっと見てるとかわいい」と、少数の“擁護派”も現れた。
この両極的な反応こそ、のちにブームを生む“原点”となる。
「最初は拒絶したけど、気づけば好きになってた。ミャクミャク、そういうやつ。」(Xユーザー)
📚 出典:Yahoo!ニュース THE PAGE / NHK NEWS WEB
2. 「キモかわ」はZ世代の感性そのもの
Z世代にとって、“かわいい”とは必ずしも“整っている”ことではない。
むしろ、“少し変”であることが愛おしい。
「キモかわ」は、彼らが世界を受け入れるためのフィルターだ。
完璧なキャラよりも、ちょっと欠けた存在に惹かれる理由。
それは「自分も完璧じゃない」からだ。
違和感を笑いに変える力こそ、Z世代が生み出した新しい“肯定文化”。
「怖いのに見ちゃう」「あの形、なんか落ち着く」──この違和感が共感に変わった瞬間、ミャクミャクは勝った。
3. SNSが作った“再評価の物語”
TikTokでは「#ミャクミャクと暮らす」「#推しミャク生活」がトレンド入り。
Z世代の動画クリエイターたちが、あえて“変な魅力”を前面に押し出した投稿を展開した。
結果、グッズの再販が相次ぎ、販売初日で完売する店舗も続出。
SNSでは「逆張りで買ったけど、ガチでかわいい」との声が急増。
かつての“ネタキャラ”が、いつの間にか“共感アイコン”になっていた。
4. Z世代が求めるのは「共感」より「ズレ」
Z世代にとって、“共感”はもう古い。
彼らが惹かれるのは、「ちょっとズレている」存在だ。
「他人と違うものを好きになる」ことが、アイデンティティの表現になっている。
ミャクミャクの人気は、その“ズレ”を堂々と見せたからこそ。
どこか変で、意味がわからなくて、でも放っておけない。
その感覚が、Z世代の感性にぴったりはまった。
「みんなが嫌うなら、私は好きでいたい」──Z世代は“逆張りの優しさ”を持っている。
5. 「嫌われ」から始まるブーム──マーケティング構造の転換
旧来のマーケティングは、“最初から好かれる”ことを前提としていた。
だが、SNS時代では「嫌われ→話題→愛着→定着」という流れが主流になりつつある。
ミャクミャクはまさにその象徴だ。
最初の拒否反応が“拡散燃料”になり、徐々に理解と愛着を生む。
Z世代は、そうした“感情の変化”そのものを楽しんでいる。
マーケティング的に言えば、ミャクミャクは「好悪両立型ブランド」。
つまり、ネガティブからポジティブへ転化できる“共感ストーリー”を持つブランドだ。
6. 企業・自治体が学ぶべき“Z世代マーケティングの新方程式”
Z世代が動かすSNS時代の拡散構造は、もはや明確だ。
- 違和感を作る:完璧よりも「変」を残せ。
- 物語化する:批判の過程も包み込む。
- 共感を誘発:共通点ではなく、ズレの肯定から始まる。
- コミュニティ化する:ユーザーが“語り継ぐ側”になる。
この流れに乗れば、広告を超えた“物語の共有”が生まれる。
ミャクミャクは、企業が抱える「炎上恐怖」を希望に変えた存在だ。
7. まとめ|“違和感”がブランドを救う時代へ
「怖い」「意味不明」「でも好き」。
そのすべてがミャクミャクを成長させた。
Z世代は、整ったストーリーより“未完成な現実”に惹かれる。
違和感を恐れず、愛されるまで待つ。
それが、いまの時代に最も強いマーケティング戦略だ。
ミャクミャクは教えてくれた。
“嫌われ”は終わりじゃない、始まりなんだ。
よくある質問(FAQ)
- Q1:ミャクミャクとは?
→ 大阪・関西万博の公式キャラクター。奇抜なデザインで話題に。 - Q2:なぜ再ブーム?
→ Z世代が“キモかわ”として再評価。SNSで物語化され、共感を生んだ。 - Q3:企業が学ぶべき教訓は?
→ 「嫌われ」を恐れず、“違和感”を物語として活かすこと。



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