「受付の前でスマホとカードを握りしめて固まる──その30秒を、この記事でなくしておきましょう。」
この記事を書いているのは、2025年11月30日。
マイナ保険証は多くの医療機関・薬局で使えるようになり、スマートフォン(iPhone・Android)でも利用できるようになりました。
とはいえ、実際の受付ではまだまだこんな声を耳にします。
- 「どこにカードを置けばいいか分からない」
- 「スマホをかざすってどうやるの?」
- 「顔認証が通らなくて列が詰まった…」
- 「同意ボタンがいくつも出てきて、何を選べばいいか不安」
このページでは、病院や薬局での“当日の使い方”にフォーカスして、
・マイナンバーカードでの使い方
・スマホ(iPhone/Android)での使い方
・受付でよくあるトラブルと、その場でできる対処
を、生活者目線で整理していきます。
「制度の話」ではなく、「受付の前でどう動けばいいか」だけを、ここで一緒に整えておきましょう。
まず押さえたい全体像|病院でのマイナ保険証はこう動く
マイナ保険証の受付の流れは、ざっくり言うとこの3ステップです。
- カード or スマホをカードリーダーにかざす・差し込む
- 本人確認(暗証番号 or 顔認証)
- 情報提供(薬剤・健診情報など)に同意するか選ぶ
紙の健康保険証と違うのは、「本人確認」と「情報提供の同意」の2つが入ってくるところです。
スマホ版マイナ保険証も、基本的な流れは同じで、
- カードリーダーにスマホをかざす
- スマホ側で本人確認(顔認証やパスコード)
という形になります。
【カード編】マイナ保険証を病院で使う具体的な流れ
受付でのひと言は、これだけでOK
まず受付では、いつもどおり診察券や保険証の提示タイミングで、こう伝えれば十分です。
「マイナンバーカードを保険証として使いたいです」
最近は、受付の方から
「マイナ保険証はお持ちですか?」
と聞かれるケースも増えてきました。そのときは、カードを出しながら「はい」と答えればOKです。
STEP1:カードリーダーにマイナンバーカードを置く/差し込む
受付近くにある顔認証付きカードリーダーに、指示されたとおりにカードを置きます。
- 「カードをここに置いてください」と書かれた台座部分に乗せるタイプ
- ATMのように、カードを少し奥まで差し込むタイプ
どちらの場合も、ICチップ側(写真がある面)を下にして置く・差し込むことが多いです(機種によって異なるので、画面のイラストに合わせてください)。
STEP2:本人確認(暗証番号 or 顔認証)
カードリーダーの画面に、次のような案内が表示されます。
- 「暗証番号を入力してください」
- 「顔認証を行います」
暗証番号を使う場合は、4桁の利用者証明用パスワードを入力します。
顔認証の場合は、画面の指示に従って、カメラを見つめて数秒待ちます。
マスクや眼鏡をつけたままでも認証できるよう設計されていますが、通りにくいときは、
- 帽子や前髪を少し上げる
- 眼鏡のレンズに反射が出ていないかチェック
- マスクを一瞬だけずらす(指示がある場合)
といった工夫をすると通りやすくなります。
STEP3:情報提供への「同意」か「同意しない」かを選ぶ
本人確認が終わると、多くのカードリーダーで
「情報提供に同意しますか?」
という画面が表示されます。
ここでいう「情報提供」とは、例えば、
- 過去の薬剤情報(どんな薬を処方されているか)
- 特定健診結果
などを、その医療機関の先生が参照できるようにするかどうか、ということです。
同意してもしなくても、保険証としての利用や自己負担割合は変わりません。
- 同意する:薬の飲み合わせチェックや、重複投薬の防止に役立つ
- 同意しない:今回の診療では情報を見られない(次回また選び直せる)
不安な場合は、その場で「どんな情報が見えるんですか?」と聞いてOKです。
嫌なときは「同意しない」を選んでも何のペナルティもありません。
【スマホ編】iPhone・Androidでマイナ保険証を使う流れ
対応する医療機関・薬局であれば、スマホに搭載したマイナ保険証だけで受付が可能になっています。
事前準備:スマホをマイナ保険証として使えるようにしておく
スマホで使うには、あらかじめ次の準備が必要です。
- 実物のマイナンバーカード
- 対応スマホ(iPhone 8以降 or 対応Android機種)
- マイナポータルアプリ(最新バージョン)
- 暗証番号(4桁パスワードなど)
ざっくり言うと、
- スマホにマイナンバーカードの情報(電子証明書)を読み込む
- マイナポータルから「健康保険証として利用する」設定をオンにする
という2ステップです。
「カード+スマホで一度だけ設定」さえ済ませれば、以後はスマホ単体で受付が可能というイメージでOKです。
当日の流れ:受付でスマホをかざす
スマホがマイナ保険証として使えるようになっている前提で、受付の流れはこうなります。
- 受付で「スマホでマイナ保険証を使います」と伝える
- カードリーダーの上に、スマホを指定の位置にかざす(非接触決済に近いイメージ)
- スマホ側で本人確認(顔認証/指紋認証/パスコード)
- カードリーダーかスマホ側に出る「情報提供の同意」画面で、同意するか選ぶ
なお、すべての医療機関がスマホ版マイナ保険証に対応しているわけではないため、
当面は「スマホ+マイナンバーカード」の二刀流で持っておくのが安心です。
スマホ版のよくあるつまずき
- 医療機関側がスマホ対応機器をまだ導入していない
- スマホが対応機種ではない(古いiPhone・Androidなど)
- 電池切れ・圏外・画面不良などでその場で認証できない
なので、当面は、
- スマホ+実物のマイナンバーカード
- 可能であれば資格確認書(+暫定期間中は紙の保険証)
という「保険(ダブル・トリプル)をかけた持ち物セット」をおすすめします。
顔認証・暗証番号でトラブルになりやすいポイントと対策
医療現場の声では、
「カードリーダーの文字が小さい」「操作が分かりづらい」「暗証番号を忘れる」などの理由から、
高齢者やデジタルに慣れていない人が顔認証や暗証番号でつまずきやすいことが指摘されています。
顔認証が通らないときのチェックリスト
- 帽子・フード・大きな髪型で顔の輪郭が隠れていないか
- 眼鏡のレンズがライトで反射していないか
- マスクをずらすよう求められた場合、一瞬だけ下げて口元が見える状態に
- 画面から顔が近すぎる/遠すぎる → 少し距離を変えてみる
それでも難しいときは、「暗証番号入力に切り替えてもらえますか?」と、受付に一言相談してみてください。
暗証番号を忘れた・ロックしてしまった場合
暗証番号を3回連続で間違えるとロックがかかり、
マイナポータルへのログインやATMでの操作ができなくなります。
- ロック解除・再設定は市区町村窓口でのみ可能
- 本人確認書類とマイナンバーカードを持っていく
ただし、当日の診療については、カードリーダーでの顔認証や目視確認による資格確認が可能な場合もあります。
受付で状況を必ず伝えてみましょう。
「暗証番号を忘れがちな人ほど、今日中に一度だけちゃんと登録と確認をしておく価値があります。」
薬局でのマイナ保険証の使い方と「お薬情報」共有の意味
マイナ保険証は、病院だけでなく薬局の窓口でも使えます。
薬局での流れ
- 処方せんとマイナンバーカード or スマホを提示
- 薬局のカードリーダーにかざす・差し込む
- 本人確認(暗証番号 or 顔認証/スマホ認証)
- 「薬剤情報の提供に同意しますか?」画面で選択
ここで「同意する」を選ぶと、
- 他院で処方された薬との飲み合わせチェック
- 同じ効き目の薬の二重処方の防止
などに活かされます。
ただし、「同意しない」を選んでも薬が受け取れなくなることはありません。
個人情報の扱いに不安がある場合は、薬剤師さんに直接質問してみるのもおすすめです。
「病院であわてない」ための持ち物セットと心構え
最後に、当日あわてないための“現実的な準備”をまとめます。
おすすめの持ち物セット(移行期)
- 実物のマイナンバーカード
- 対応していればスマホ版マイナ保険証
- 資格確認書(+暫定措置期間中は紙の健康保険証)
- 高額療養費が心配な場合は、限度額適用認定証(必要に応じて)
ちょっと多く感じるかもしれませんが、
トラブル時の「一旦10割負担」を避けるための保険と考えると、持っていて損はありません。
受付で困ったときの魔法のひと言
- 「マイナ保険証でうまく読めないみたいなので、資格確認書(または紙の保険証)で確認してもらえますか?」
- 「エラー表示を教えてもらえますか?控えておきたいです。」
この2つが言えるだけでも、その後のトラブル対応がかなりスムーズになります。
FAQ|マイナ保険証の使い方・スマホ連携・顔認証トラブル
Q1. スマホでマイナ保険証を使う場合、カードはもう持ち歩かなくていい?
2025年11月時点では、カードも一緒に持ち歩くことをおすすめします。
スマホの故障・電池切れ・非対応医療機関など、スマホだけに頼るリスクがまだ大きいためです。
Q2. 「情報提供に同意しない」を選ぶと損をしますか?
マイナ保険証の同意画面は、薬剤情報や健診結果などを医師・薬剤師が閲覧できるようにするかどうかの確認です。
同意しなくても医療費が高くなることはなく、診療を断られることもありません。
ただし、飲み合わせチェックなどの利点は減るので、不安であれば医師・薬剤師に相談したうえで決めるとよいでしょう。
Q3. マイナ保険証を使うと、受付での待ち時間は短くなりますか?
オンライン資格確認自体は数十秒〜1分程度ですが、
操作に慣れていない人が多い時間帯は、かえって列が詰まることもあります。
当面は「待ち時間が必ず短くなる」とは言い切れないので、
時間に余裕のあるタイミングで初回利用を試してみるのがおすすめです。
Q4. マイナ保険証をやめて、普通の保険証に戻すことはできますか?
健康保険証の新規発行は原則停止されているため、
「従来の健康保険証に戻る」ということはできません。
ただし、マイナ保険証の利用自体は、マイナポータルや窓口から「健康保険証利用の申込取消」を行うことで停止できます。
その場合は、資格確認書を基本に使うことになります。
Q5. 子供・高齢者はマイナ保険証を使わせない方がいい?
一概に「使わせるべき/やめるべき」とは言えません。
・通院頻度が高い/薬が多い → 情報共有のメリットが大きい
・暗証番号やカード管理が難しい → 資格確認書メインが安全
といったように、家族構成やサポート体制に合わせて決めるのが現実的です。
情報ソース・参考リンクと注意書き
本記事の内容は、以下の公的機関・医師会・健保組合等の情報をもとに、2025年11月30日時点の情報を整理したものです。
- 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について」
- 厚生労働省「スマートフォンのマイナ保険証利用について」
- 厚生労働省リーフレット「スマホでマイナ保険証を使うための事前準備」
- 厚生労働省「スマートフォンのマイナ保険証対応医療機関・薬局検索ページ」
- 資格確認ポータル「外来診療等におけるスマートフォンのマイナ保険証利用への対応について」
- 資格確認ポータル「スマートフォンのマイナ保険証対応施設の公表について」
- デジタル庁「マイナンバーカードの健康保険証利用(スマートフォンでの利用)」
- 全国保険医団体連合会「マイナ保険証トラブルで『一旦10割負担』12.7%・1894件発生」
- COKI「マイナ保険証に間に合わない?受付で起きている“予想外の混乱”」
- Impress Watch「健康保険証が廃止 マイナ保険証の現状とこれから」
【注意書き】
スマートフォンでのマイナ保険証利用に対応している医療機関・薬局の範囲、対応機種、カードリーダーの仕様、マイナポータルの画面構成などは、今後のシステム更新・制度改正により変更される可能性があります。
実際に受診する際は、必ず最新の公式情報(厚生労働省・デジタル庁・資格確認ポータル・各医療機関のお知らせ等)を確認してください。

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