2022年2月5日に放送された日本テレビ系『マツコ会議』。
番組に登場したのは、当時すでに大ヒットを連発していた歌い手・Ado。
顔を公に出さず、その歌声と表現力だけで時代を動かしてきた彼女が、マツコ・デラックスと初めて深く言葉を交わした瞬間は、視聴者にとっても「神回」と呼ぶにふさわしい時間だった。
番組冒頭、Adoを迎えたマツコはふとこんな本音を漏らす。
「想像と違ったらどうしようって思ってたのよ」。
一流司会者であるマツコでさえ、初対面の緊張と不安を抱いていたのだ。
この言葉に、スタジオの空気が一気に柔らかくなった。
“完璧な司会者”ではなく“人間マツコ”がそこにいたからこそ、Adoも少しずつ心を開いていく。
若さと熟練を併せ持つ歌声にマツコが驚愕
「最初はウソだろ?って思ったの」──マツコがAdoの歌声を初めて耳にしたときの感想だ。
さらに彼女は続ける。
「まだ若いのに、まるで熟練のババアみたいに歌えるんだもの」。
歯に衣着せぬ表現ながらも、そこには最大級の賛辞が込められていた。
Ado自身も番組内で、自分の歌のルーツを語っている。
特に中森明菜の代表曲「少女A」を練習曲として歌い込んでいたことを明かし、マツコの昭和歌謡愛と見事に共鳴。
世代は違えど、共通する音楽の記憶が二人の距離を一気に縮めていった。
音楽は時代を超えて心を繋ぐ──その瞬間が画面越しに伝わってきた。
意外な共通点──『ガラスの仮面』で距離が縮まる
音楽や仕事の話だけでなく、Adoとマツコが意気投合したのは意外なテーマだった。
それが、名作少女漫画『ガラスの仮面』。
マツコが「あなたはマヤ派?それとも亜弓派?」と問いかけると、Adoは即答した。
「私は一貫してマヤ派です!」
思わずテンションが上がるその様子に、視聴者も笑みをこぼしたに違いない。
世代も立場も異なる二人が、共通の作品を通じて一気に距離を縮めていく。
音楽という軸だけでなく、人生や趣味の重なりが会話を滑らかにし、スタジオに温かな空気を生んでいった。
「共感」という和音が鳴った瞬間だった。
最も深い本音──「自分を好きになれますか?」
番組の後半、Adoはマツコに向かって真剣な問いを投げかける。
「どうやったら自分のことを好きになれますか?」
若くして成功を収めた彼女だからこそ抱える、自意識と葛藤。
この言葉には、視聴者自身の心の奥にも触れる力があった。
マツコの答えは、華やかな芸能界の裏側をさらけ出すものだった。
「アタシも自分のことは好きじゃないの。血ヘドが出るほど嫌い」。
笑いと毒舌で包まれたマツコが、真正面から吐露した弱さ。
その瞬間、Adoとマツコ、そして画面の前の多くの人々が「本音」で繋がった。
Ado出演回が“神回”と呼ばれた理由
放送後、SNSでは「Ado回は神回」「マツコの質問力に震えた」といった声が相次いだ。
なぜこの回は特別視されたのか。
そこには三つの要素があったと僕は考える。
- 質問力と共感力──マツコは「芸能人だから」ではなく「一人の人間」としてAdoを見つめた。
- 素直に応じたAdoの本音──若き歌姫が“飾らない声”を出した瞬間に多くの共感が集まった。
- 世代を超えるルーツ──昭和歌謡や漫画といった共通点が、二人の心を繋げた。
バラエティ番組の枠を超え、一つの対話のドキュメントとして刻まれた時間。
まさに“神回”と呼ぶにふさわしい瞬間だった。
まとめ──「本音で語る」ということ
Adoが『マツコ会議』で見せたのは、華やかな歌姫ではなく「一人の若者」としての素顔だった。
そしてマツコもまた、毒舌でも強がりでもない「弱さを抱える人間」として応じた。
その二つの心が交差した時、テレビはただの番組を超えて「物語」になったのだ。
最後に読者への問いを残したい。
──あなたは、自分のことを好きになれていますか?
Adoの問いかけは、実は僕たち全員へのメッセージだったのかもしれない。
参考情報・出典
- Real Sound|『マツコ会議』にAdo出演(2022年2月5日放送回)
- クランクイン!|Adoとマツコが語った本音トーク
- 日テレ公式|マツコ会議 Ado出演回概要
- CanCam|マツコとAdoが語った「自愛」について
※本記事は番組内容をもとに執筆しており、一部要約・解釈を含みます。実際の放送内容は公式配信・再放送をご覧ください。
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